糖尿病の検査について
糖尿病では血糖値はもちろんですが、初診時の合併症の程度や肥満しているかどうかなど総合的にみた上で、その人にあった治療の方法が決められます。
例えば血糖値がまだあまり高くなく合併症もない場合、薬は使わず定期的に検査をして血糖値が高くなっていないかどうかを調べるだけということもあります。
また食事と運動で血糖値のコントロールができ、普通の生活は全く問題く過ごせることもあります。
そのために糖尿病においては定期的な検査は大変重要となってきます。血糖値は一度下がっても生活習慣が乱れることで、またすぐに上がってしまいます。
さらに放っておくと知らない間に合併症を発症することもあるのです。
糖尿病の検査は、職場や地域で行っている健康診断でも含まれています。
職場で健康診断を受けられない場合でも、40歳以上の人なら、住んでいる市区町村で健康診査を行い検査を受けることができます。
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糖尿病の検査の種類と方法
尿糖検査
糖尿病の一般検査として、集団検診などで行われる尿試験紙による検査が一般的です。
この検査で初めて尿糖が出た場合、糖尿病が疑われるためさらに詳しく調べるため血液検査を受けることになります。
また尿糖測定は治療して行く上でも血糖コントロールの効果を確認できる手段としても用いられます。
腎臓は、血液中の老廃物を濾過して尿として排泄する働きをする臓器です。
糖は身体の中でエネルギーとなりそのほとんどは再吸収され血液に戻ります。そのため健康な人の場合、尿糖はほとんど検出されません。ところが血糖が異常に高くなると、腎臓が再吸収しきれない糖が出てきます。
こうした再吸収しきれなかった糖は尿中に排泄されます。このため、尿糖が検出されることになります。この尿糖の検査は尿に試験紙を浸し変化を見るだけのもので痛みもなく簡単に行えます。
このように尿糖値は、尿中に排泄された糖を測定し排尿から次の排尿までの間の血液の状態を知ることができます。
このときの血糖値は「腎閾値(じんいきち)」と呼ばれます。
インスリン作用が不足していたり、食べ過ぎなどで腎閾値を超えた高血糖状態になった場合は、尿中に糖が排泄され、この値により食後の高血糖状態であったことを間接的に知ることができるのです。
個人差はありますが、一般的には腎閾値は血糖値にすると160〜180mg/dL以上と言われていますので、尿糖が出たら血糖値も上がっていると考えられます。
ただし、健康な人であっても、過労など体調によっては尿糖が出ることがありますので一概には言えません。また、体質により尿糖が出やすい人、出にくい人もあります。
尿糖検査結果の見方
陽性(+〜+++) 糖尿病が疑われます。ブドウ糖負荷試験の血糖検査を受けます。陰性(−) 糖尿病の疑いを完全に否定はできません。
尿糖測定でのポイントとしては、まずは食事開始直前に一度排尿しておくことです。尿糖検査の場合はだいだい食後2時間の尿を測定することが一般的です。事前に排尿し食事をしたあと、このタイミングで排尿し尿糖検査することで食事以前の尿が含まれることなくより正確な値に近づきます。
血糖検査
血糖値とは、血液中に含まれる糖の値のことを言います。この血糖値は運動や食事、特に食前(空腹時)か食後などでも変化しますので、血糖測定ではその採血をした時の血糖値を測定し知ることができます。
食後の血糖は変化が早く、1回の測定での判定には無理があり、通常は2回以上の測定が必要になります。
しかし、血糖測定は穿刺採血が必要なため頻回測定するには、身体への負担も少なくありません。
血糖検査の結果
- 126mg/dL以上→糖尿病域…糖尿病が強く疑われますのでブドウ糖負荷試験を受けます。
- 110mg/dL以上→126mg/dL未満→境界域…糖尿病の疑いがあります。できるだけブドウ糖負荷試験を受けるようにしてください。
- 100mg/dL以上→110mg/dL未満→正常域…血糖値がやや高いめです。他の生活習慣病がある場合、できるだけブドウ糖負荷試験を受けるようにしてください。
- 100mg/dL未満→正常域…現在、糖尿病の心配はほとんどありません
ブドウ糖負荷試験(経口糖負荷試験)
糖尿病の精密検査として、実際にブドウ糖を経口から摂取して、血糖値がどのように変化するかを見るブドウ糖負荷試験があります。
まず75gのブドウ糖を含む飲料を飲みます。その後、血糖の時間的な変化を調べるため決められた時間に採決をしていきます。
その各時間の採血により測定された血糖測定値で下記のように判定されます。
ブドウ糖負荷試験検査の結果
- ブドウ糖を飲む前の血糖値が110mg/dL未満で、ブドウ糖を飲んだ2時間後の値が140mg/dL未満の場合→正常型
- 空腹時の血糖値が126mg/dL以上、ブドウ糖を飲んだ2時間後の値が200mg/dL以上の場合、もしくは随時血糖値が200mg/dL以上であった場合→糖尿病型
この2つの型のどちらでもない場合は「境界型」と呼ばれます。この検査で2回以上「糖尿病型」と判定された場合、糖尿病と診断されます。この検査結果に加え「糖尿病の典型的症状がある」「HbA1cが6.5%以上である」「糖尿病性網膜症がある」の3つのどれかがあてはまる場合なども、糖尿病として診断されます。
HbA1C検査
HbA1C(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)検査では、血糖コントロールの判断できる検査です。
血液中にあるヘモグロビンは赤血球内のタンパク質の一種です。ヘモグロビンは肺から血液の中に取り込まれてきた酸素と結合し全身の細胞に酸素を送る働きをしています。
血糖値が高くなると、酸素よりも血液中のブドウ糖がヘモグロビンに結合してしまい、グリコヘモグロビン(HbA1C)というものに変化してしまいます。
HbA1C検査は、血液中のヘモグロビンのうち、このグリコヘモグロビンにどれくらい変わっているのか、その割合を調べる検査となります。
またグリコヘモグロビンは一度できるとその赤血球が死ぬまで消滅ないという特性を持っています。
さらに赤血球は約4カ月の寿命ですから、HbA1C検査は過去1〜2カ月間の血糖コントロール状態を見ることができるのです。
そのため糖尿病検査の数日間前だけ食事療法を一生懸命やっても HbA1C検査ではすぐにわかってしまいます。
HbA1C検査の結果
HbA1Cは6.5〜7%未満が理想的です。
HbA1Cにおいては血液中の何%の割合かでみていきますが、この1%違いが実は合併症の進行を大きく左右しているのです。
ある調べにおいてはこのHbA1C1割下がることで、糖尿病合併症の一つである網膜症の進行の危険性が40%以上減るとも言われているようです。
- 9.1%以上→→不良
- 8.1〜9.0%→→やや不良
- 7.1〜8.0%→→良
- 7%以下→→正常値
フルクトサミン検査、グリコアルブミン検査
フルクトサミンとは、血液中のタンパク質がブドウ糖と結合してできる物質です。このフルクサミンの量を調べることで、血液中にブドウ糖がどの程度増加しているかを知ることができます。
またグリコアルブミン検査とは、血液中のタンパク質の主要成分であるアルブミンが、どの程度ブドウ糖と結合しているか調べる検査です。
グリコアルブミンの基準値としては約12〜17%です。これより高いようなら、血糖値が高い状態が続いているということになります。
この2つの検査では、過去約2週間の血糖コントロール状態を見ることができます。
HbA1C検査ではわからない、比較的短期間での血糖の変化をとらえることができるのが特徴です。なので低血糖、高血糖を繰り返しやすい人の血糖コントロールの目安や、薬物療法を始める時にその薬の効き具合を確かめたりする時に役立つ検査です。
グリコアルブミン検査の結果
- 30%以上→→不良
- 25〜30%→→やや不良
- 20〜25→→良
- 16〜20→→正常値
1,5-AG検査
1,5-アンヒドログルシトール検査または1,5-AGと呼ばれる検査です。
1,5-AGは糖の一種で、ブドウ糖と似た構造をしています。血液中に糖が増えることで、尿中への1,5-AGの排泄が亢進します。
そのため血液中の1,5-AGの濃度が急激に減少します。このことより1,5-AGが、急に減少している場合、血糖コントロールがうまくできていないということになるのです。
この検査は軽度の高血糖に敏感に反応するという特徴があります。
しかしながら血糖値のように食事や運動には影響されないので過去数日間の血糖値の指標となり、宴会や飲み会、旅行などによる短期間のコントロールの悪化も見逃すことなく知ることができます。
そのためまた、食事療法や運動療法の効果をすぐに結果として知ることもできます。
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検査の費用について
糖尿病での検査は主に尿検査と血液検査になりますが、これらは通常の保険診療で3割自己負担となります。
他にも2009年3月以降からは献血では無料で血糖値を測ってもらえるので気になる人はこれでまずはチェックするのもいいかも知れません。
糖尿病で自分で検査できる自己測定キットなどもあり血糖値を機材は平均で約10,000〜20,000円程ですが、これに約100〜150円程の使い捨て部品が必要になります。
このキットについてはインシュリンでの薬物治療中の人は健康保険が適応れているので担当の医師に相談してみましょう。
また尿糖自己測定については試験紙が売られていますが健康保険の適応されておらず自費となります。1回約25円〜30円程度になります。