糖尿病の治療方法
糖尿病の治療は、基本的に「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つとなります。
まだ早いうちなら食事療法と運動療法で糖尿病はコントロールできます。しかし、進行すると経口内服薬やインシュリン注射などによる薬物療法が必要となってきます。
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食事療法
糖尿病になりつつあるとされる糖尿病予備軍の人や、すでに糖尿病と診断された人は、日常の生活強度に合った食事をする必要があります。
食べてはいけないものはありませんが、暴飲暴食などは糖尿病の進行をますます早めることになります。
糖分や栄養分の過剰な摂取は避けるようにして自分にあった分量の食事で、栄養バランスがとれた食事ができるよう工夫することが必要となってきます。
通常1日に食べる量は摂取カロリーで1600Kal以内にするように、お医者さんから指示を受けると思います。しかし、目安としては次のようになりますが、必要な摂取カロリーはその人の体格や糖尿病の重度、生活などにより変わってきます。
総エネルギー量=標準体重×仕事別消費カロリー(標準体重1kgあたり)
- 軽程度:事務職、主婦など→25〜30kcal
- 中程度:製造・販売業、自営業の主婦などの →30〜35kcal
- 重労働:農・漁業、建築業など→35kcal
しかし単に摂取カロリーを抑えるという訳ではなく、エネルギー量とまた栄養のバランスを考えなくてはなりません。
エネルギー量の計算については、80kcalを1単位として計算する方法が一般的です。
運動療法
糖尿病の大きな原因の一つに運動不足があります。適度な運動をすることで糖尿病の予防や改善には大いに効果があります。
しかしながら、糖尿病の場合、急に激しい運動をしてはいけないし、運動量が足りなすぎても効果がないので無理のない程度に徐々に身体を慣らしていくようにしましょう。
まずは5〜10分程度の軽い運動から始め、徐々に1回30分〜1時間程度のウォーキングといったように時間を延ばしていきます。
それを週に3回ほど行ない、慣れてくるについてれ時間や回数を増やす、またはジョギングにするなど少しずつ負荷をかけていきます。まずは運動することを習慣にできるように工夫してみてください。
- 毎日同じだけ1人でもできる運動を選ぶ。→毎日のことなので、散歩やジョギングなど場所や人数や時間を選ばずできる運動するようにしましょう。
- ウォームアップとクールダウンをとる。→運動は1日30分が目安で、朝晩2回に分けてもかまいません。急激に多くの運動をして急激にやめるような運動の仕方が心肺機能にも負担が大きく危険です。運動を行うときは、ゆっくりスピードを上げていき、また、終了時はゆっくりスピードを下げていくようにしましょう。
- 疲れすぎない運動をしましょう。→動いた後少し汗ばんでいるが、会話はラクにできる程度が運動の強さの目安となります。疲れてすぎてしまう運動は負荷が大きすぎ身体的にストレスになる他、運動すること自体を続けることが困難になります。
- 運動は食後1〜2時間後に行う。→食後の血糖上昇が効果的に抑えられます。
- 低血糖に注意する。→血糖のコントロールがうまく行かず低血糖を起こす恐れのある人は、運動の仕方を担当の医師に確認のうえ慎重に行ってください。
薬物療法
薬物療法としては、主に血糖値を下げるための血糖降下薬という飲み薬と、インスリン注射があります。 インスリン注射はインスリンが殆ど分泌されない人やインスリンの量が不足している人のため注射です。
薬物療法が必要になる糖尿病のタイプとしては、まず「1型糖尿病」の人があげられます。1型糖尿病だと、体内でインスリンそのものを作れないので、インスリン注射が必要になってきます。
また、それ以外の型の糖尿病でも、食事療法や運動療法を続けても効果が現れない場合には薬物療法が選択されます。ただし、これらの薬物療法は単体で行うものではなく食事療法、運動療法と一緒に行っていきます。
さらに必ず医師と相談しながら行い、勝手にやめたり、量を多くしたり少なくしたりして使うなどしてはいけません。
インスリン療法においては特に「ケトーシスがないこと」や「高血糖の原因となる他の疾患(感染症や悪性腫瘍など)が存在しないこと」「糖尿病慢性合併症が存在しないこと」「食事療法、インスリン注射、血糖自己測定といった自己管理能力があること」などが条件としてあります。
いずれにせよ、糖尿病においての薬物療法では医師の診断と指導のもとで行っていかなくてはいけません。
薬物療法の種類
- αーグルコシダーゼ阻害薬◇製品名:グルコバイ、ベイスン→食後の血糖値の上昇を抑える働きがあります。食前に飲んでおくと食物の分解・吸収の速度を遅らせてくれますが、吸収速度を抑えるだけで結局は食べた物は全部吸収されていきます。
- スルフォニル尿素薬◇製品名:ダイアグリコ、オイグルコン、アマリール→膵臓を刺激してインスリンの分泌を高めることを意図とした薬です。そのため膵臓がインスリンを生成する力がまだ残っている場合にしか効果が期待できません。また低血糖の副作用もあり、空腹感が強くなる場合があります。
- インスリン抵抗性改善薬◇製品名:アクトス→膵臓に問題なくインスリンもちゃんと分泌されているにも関わらず、インスリンの効きが悪い場合(インスリン抵抗性)に使用されます。ただし、この薬は副作用が強く、あまり使用されることはありません。また副作用として肝臓に悪影響を出ることある事が報告されています。
インスリン注射
インスリン注射では自分で皮下注射を行わなければなりません。また同時に血糖自己測定ができなければなりません。
特に薬を使用したインスリン注射では量を誤ったり、体調の変化から急激な低血糖になる恐れもありますので、そういった低血糖の対応もできるようにしておかなくてはなりません。事前に医師の説明などをよく聞きしっかりと正しい方法でインスリン注射による治療が行えるようにしておきましょう。
糖尿病教育のための入院について
初めて糖尿病の治療を始めるとき、糖尿病とはどんな病気かを正しく理解するため病院に入院して学習する「糖尿病教育入院」がある場合があります。
この入院では糖尿病についての知識を学ぶだけでなく、食事療法でのエネルギーの計算の仕方や、バランスのとれた食事メニューの作り方を教えてもらえます。
入院期間はおよそ1〜2週間くらいです。費用については病院により異なります。こういった「糖尿病教育入院」で糖尿病治療の基礎をしっかりと学び、糖尿病の治療に対する習慣をつけておくことは長くつき合っていかなければならない糖尿病との生活において大変重要になってきます。
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糖尿病の「細胞移植療法」
食事療法については、糖尿病治療の基本は摂取エネルギーの制限であるとしましたが、最近ではエネルギー制限だけではなく糖質の制限といった食事療法も行われています。
また近年注目されている糖尿病の治療法として「細胞移植療法」があります。
細胞移植療法は自分の細胞である骨髄細胞を患者自身の身体から採取し増殖させたあと、また同患者に移植する治療です。
この治療によりインシュリンを使用していた患者さんがインシュリンを離脱できたという報告もされています。使用される細胞は、患者さん自身の骨髄細胞なので、副作用もなく免疫抑制剤や日和見感染症の心配をする必要もありません。
まだ研究段階で普及はしていませんが、今後の糖尿病治療において大きな効果が期待できるとされています。
糖尿病に特効薬はないのか?
いったん糖尿病が進んでしまうと生活習慣と密接にかかわっている病気であるためか、すっきりと治す方法や治療がなかなかないのが糖尿病です、それでも特効薬的なものはないのでしょうか?
ためしてガッテンは番組内でインスリンをあらためて特効薬として扱いました。
これは初期の糖尿病患者さんに早目の段階でインスリン注射をすることでヘモグロビン・エーワンシーの値が劇的によくなるということでした。
たしかに番組内では、値が正常値近くにまで改善したので従来からあるインスリン注射が早期の糖尿病の特効薬といっても良いといえるでしょう。
いままではインスリン注射は最後の治療というイメージでしが早めに注射することで、すい臓が休まり薬を止めても症状が改善して安定するとなると考え方によっては特効薬といえそうです。
そのほかにもサラシアという熱帯地域に生える植物があります。
もともと東南アジアでは糖尿や肥満のために用いられ日本でもサプリメント等になって販売されています。
特効薬といってよいかわかりませんが、実際糖吸収を抑制して合併症にも効果があるといわれています。
そのほかにも整腸作用やダイエット・免疫力を強化したりと総合的な効果もあるようです。
もともと天然成分で健常者が服用するには問題はなさそうですが、糖尿の既往歴のある人や妊娠している方などには副作用があるようです。
ちょっと糖尿が気になる人や予防には適しているようですが、糖尿病患者さんが特効薬として用いたい場合は主治医の指示のもと活用したほうが良いようです。
しかし併用に注意しなければならないということは、それだけ効果がある証拠といえるでしょう。