糖尿病の知識

生活習慣病としてもよく知られている糖尿病。糖尿病は、過食や運動不足が主な原因となる病気です。

日本では約40歳以上の10人に1人は糖尿病と言われてきています。さらに近年では糖尿病の人は急激に増えてきているのです。

では、実際「糖尿病」とは一体どのような病気なのでしょうか。

糖尿病というと、その字のままに「尿に糖が出る状態」とのイメージがあります。しかし、実は血液中で糖分つまり血糖の割合が高くなる病気です。

そしてこの糖尿病という病気は、発症のはじめは自覚症状はありません。

だけど、少しずつ進行し血糖が高くなるだけではなく、合併症を引き起こし大変なことになります。

また糖尿病は、初期ならばある程度は食事や運動などでコントロールできますが、決して「治ること」はありません。早期発見のために年１回の定期検査などを受けるようにしましょう。

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では、なぜ血液中で血糖の割合が高くなる、つまり糖尿病になるのでしょうか。

日頃私たちが口にしているご飯やパンなどは、私たちの身体の中で「糖代謝」というしくみでブドウ糖に変換され私たちが生きていくために必要不可欠なエネルギーとなります。糖尿病はそれがうまくいかなくなった状態です。

この糖代謝では、通常、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンにより血糖値が一定に保れています。

しかし生活習慣の乱れによる過食や肥満、運動不足などにより、インスリンの分泌が悪くなってしまいます。

このことにより血糖値が一定よりも多くなって「高血糖」状態になってしまいます。

先に述べた生活習慣による原因の他にもケガや手術などの肉体的ストレスでもこのインスリンの作用を弱めることがあります。

その他の原因として老化による膵臓機能の低下や、血圧降下剤や副腎皮質ホルモン剤などの薬剤が原因になるもの、遺伝などがあります。また妊娠も引き金になることがあります。

平成9年に実施された糖尿病の実態調査では「糖尿病が強く疑われる人」は約690万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」は約680万人いるとされています。

これらの人数を合わせると、全国では約1,370万人いるとされています。

一方、平成11年の調査では糖尿病で治療を受けているという人は約200万人しかいないとされています。糖尿病はかかり始めは痛みなどの自覚症状がないため、その多くは気づかずにいるか、健康診断などの検査で血糖値が高く治療が必要といわれても治療をせずに放置している人が多いというのが現状なのです。

しかしながら、実際には平成12年の調査では糖尿病で亡くなる人は年間で約1万人いるとされています。

また糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人も、年間約1万人以上もいるとされ、糖尿病が原因の視覚障害の発生も年間約3,000人もいるとされているのです。

糖尿病ではまだ初期で自覚症状のない糖尿病の可能性を否定できないような人でも、血管障害が静かに進行していきます。

そうしていくうちに心臓病や脳卒中にかかっていると言われたり、治療を受けたりしたことがある人は決して少なくありません。

実際、血糖値が正常範囲の人に比べ、血糖値が高く糖尿病の可能性を否定できない人は約1.5倍、糖尿病が強く疑われる人は約2.5倍以上にもなるのです。

健康診断などで血糖値や尿糖に異常を指摘されたり、糖尿病のセルフチェックをしておかしいと思ったら、すぐにでも病院に行き医師の診断の元、検査や必要なら治療を行うようにしましょう。

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糖尿病が進行すると一番怖いのが動脈硬化です。現在では健康志向とマスコミ等でご存知の方は多いと思いますがやはり糖尿病ではすべての元凶といっても良いでしょう。

動脈硬化は加齢によっても起こりますが糖尿病になるとそのリスクは増大します。

動脈硬化の怖さはあらゆる疾病を引き起こし突然死にもつながる恐ろしい血管の疾病です。

まず血管が詰まりやすくなり合併症を引き起こします。大きな血管で起こる脳卒中・心筋梗塞はもとより毛細血管でも 全身がダメージを受け失明・じん不全・神経障害・壊疽など数えきれないほどの病気の引き金になります。

これだけ恐ろしい動脈硬化は血糖値が高い状態が続くとなりますが本格的な糖尿病になるとそのリスクは増大します。

こういった悪循環に陥る前に危機意識をもって糖尿病の予防に取り組むことが大事で、食環境の豊かな現代人の 常識概念としたいところです。

いよいよ新型インフルエンザの影響が日本でも強く意識されマスコミ等でも頻繁に報道されていますが 夏場から秋・冬になるとさらに新型インフルエンザの脅威はたかまると言えます。

糖尿病患者にとって新型インフルエンザにかかるとどのような危険があるでしょうか？

実はかかりやすさは健常者も糖尿病患者もそれほどかわりません。

しかしその後のリスクはやはり免疫力が落ちている糖尿病患者さんは気をつけなければなりません。

普通インフルエンザにかかったとしても若くて免疫力がある場合のどの痛みの段階でしっかり咳や痰で 防御してそれほど悪化せず完治のほうに向かいます。

しかし免疫力が劣る人や糖尿病患者の場合容易に肺に侵入し一気に増殖します。

こうなるともともと全身の免疫が弱いのでインフルエンザが治りにくく、重篤な症状を引き起こす場合があります。

高熱と激しい下痢やおう吐が起こり体はさらに衰弱して酸血症を併発し一気に危険な状態になります。

もともとストレス耐性が弱まっている糖尿病患者や合併症を併発している人はインフルエンザにいったん かかるとなかなか治らないだけでなく容態の急激な悪化も考えられます。

やはり一番大事なことは予防であり普段の生活でストレス等をためないことです。

予防は一般的に言われている通りマスクの着用とうがいと手洗いの徹底で可能ならばワクチンの接種が効果的です。

ワクチンの目的はかかりにくくするのが第一ですが、かかったとしても急激な悪化を抑える効果もあります。

いずれにせよ常に体調を整えなるべく人が密集する場所はさけてしつこいくらいうがいと手洗いを励行することが インフルエンザの時期を乗り越える方法といえるでしょう。

糖尿病の合併症の一つに壊疽があります。この壊疽の怖さはやはり最終的に切断しなければならないこと、自分の 身体の一部を失うことだと言えます。

これほど怖い壊疽なのになぜ切断するまでにいたってしまう人がいるのでしょうか？

糖尿病性の壊疽は当然糖尿病が原因です。動脈硬化などで血管がつまり血流が滞ります。

この状態までなると様々な不都合が 生じるので普通は治療しますがほとんどのひとが生活習慣からくるものでなかなか血糖をコントロールするのが難しいのが現実です。

ここできちっとセルフコントロールできないひとは次の段階へと進みお薬でもコントロールができにくい状態まで 悪化してしまいます。

ここまでくると神経も侵され、自分で痛みや感覚が鈍くなるので壊疽の兆候にたいして気づかなかったりします。

そこにバイ菌や水虫などに侵され簡単に壊疽が進行してしまいます。これが糖尿病性壊疽の怖さです。

大事なのは初期の糖尿病の段階でコントロールして治療することです。そうすれば切断するまで悪化することはないですが、そこで軽く考えてしまい重篤な糖尿病になってから努力してもなかなか改善はしないのです。

そこに神経障害や水虫などのきっかけでもともと弱まっている血管や細胞が侵され切断という結果をまねいてしまうのです。

もちろん血流障害だけで壊疽にまで悪化するケースもありますが、その多くの原因は複合的な対処できない段階まで 症状が悪化してそこにダメ押しで抵抗力のなくなった細胞や血管が細菌に侵され対処できなくなるのです。

もし初期の段階を超えて常に壊疽の危険がある場合の患者さんは自分の足先などを常に監視する必要があります。 怪我ややけど深爪などにも気をつけて生活するようにして、なにか異常があるばあいはすぐに抗生物質等の服用が必要になります。

糖尿病の怖さは合併症にありますがその中でも怖いのが糖尿病性腎症です。なぜ糖尿病性腎症が怖いかといえば やはり人工透析のリスクがることだといえます。

糖尿病性腎症によってじん不全になると人工透析療法に頼るようになります。この人工透析は金銭的にも肉体的にも 当然精神的にも負担があります。

その理由は人工透析はほぼ一日おきに行わなければならず、しかも一回の治療に3〜5時間もの時間がかかりそれだけでも 時間的肉体的に制約を受けます。

もちろんこれは一生続けなければなりません。

最近は腎臓の生涯年齢がさがってきているといわれています。すなわち人の寿命よりも腎臓の寿命のほうが 短くなっているということです。

この腎臓の寿命を短くしているもっともな原因はやはり糖尿病性腎症といってもいいでしょう。

すなわち人工透析生活になりたくなければ血糖値を健康なときからきっちりとコントロールすることが 大事になります。

糖尿病性腎症はいきなりなるものでなく、長い年月腎臓に負担をかけることによっておこります。

もし健康診断等で糖尿病の指摘がされたならば、コントロールで治るうちに生活を見直し 健康を保つことがもっとも重要なことなのです。